

(3)施設介護の種類
施設介護の種類
● 特別養護老人ホーム
原則、生活の拠点として最後まで生活できる。(住所を施設に変更)
国や自治体より補助金が出ているので入居費用は安価。
入所待ちが多い。
常勤の医師はいない。リハビリ資格者の常勤は必須ではない。
●介護老人保健施設
3ヶ月の入所期間が決められており在宅復帰を目的としている。
出入りが多いため比較的空きが出やすい。
医療系の施設とされているため常勤の医師がいる。
PT(理学療法士)OT(作業療法士)などがリハビリを実施
この二つの一番大きな違いは“一生をそこで過ごす”か“入所期間終了後は自宅に帰る”かということになるかね。因に“有料老人ホーム”も特養と同じで一生を過ごす場所。ただ国の補助が無いから費用は高くなってしまうね。その分、サービスが行き届いていたり生活が自由という良い点もあるけど
知らなかった。施設といえば一生そこにいるのかと思っていました…
そのようだね。でも奥さんの方はもっと深く考えていたんじゃないかな?
気付けばさっきまで怒鳴っていた妻は真剣な顔つきで押し黙っていた。
私は…姑を自宅で介護しました。短い間だったのですが本当に大変で…。姑を悪く思ってしまう時もあったし、施設だったらもっと良い介護をしてくれたのかもと後悔したりもして。正直自分の介護に自信がないんです。だからお父さんを家でみるのが恐いんです…。
夫は初めて聞いたという驚いた顔で妻を見た。
うん。これで分かったね。二人ともお父さんを大切に思ってる。でも知識がないだけですれ違っていたんじゃないのかい?ちゃんとケアマネにも相談しながらお父さんに必要なサービスを考えてごらんよ
二人はしっかりとうなずいた。
あともう一つ。施設に入る事に負い目を感じることはないんだよ。
介護は家族の愛や素人の頑張りだけで乗り越えられるほど甘いものじゃない。
その人の状態に合った介護をプロに任せて、その分出来た気持ちの余裕で家族は介護される本人に優しくしてあげればいいじゃないか。
在宅で介護してることが優しくて施設に入れる事は冷たいなんて決してそんなことはないんだから。
無理して共倒れすることが一番悲しいことじゃないのかい?
カイの話を真剣に聞いていた夫婦はもう全く騒ぐことはなかった。
しばらくすると深く頭を下げて無言で帰っていった。
そして1週間後。夫がカイの所へ挨拶にやってきた。
カイさん、私たちあれから話し合って、老健を利用することに決めました。リハビリも出来るし、良くなれば自宅で生活もしてもらえますし。父にも話しましたが受け入れてくれて…なんとか介護を始められそうです。
でも不思議でした。妻があんな風に父の事を考えていたなんて…長年連れ添った私には全く気付けなかったのに。カイさんは何故妻のことがわかったんですか?
アタシだって神通力があるわけじゃないよ。でもあの奥さん声は大きいし言葉は悪いけど、家に入る時玄関できちんと靴を揃えたり、素直で気遣いのできる人なんだと思ったよ。あとは一世紀近く生きてこればね。こんな人間なのかなーってわかっちゃう時があるのさ
すごい…!さすがです!私これからも色々と相談に来てもいいでしょうか!?
えっ!!嫌だよ!あたしゃゆっくり過ごしたいっていってんだろ!も~
またやっかいなファンを一人増やしてしまったと後悔するカイであった。
認知症や介護認定についてもっと知りたい方は、
会員登録(無料)をして、専門家に相談してみましょう。
>> 新規会員登録

カイばあちゃんの介護知恵袋
~認知症編~
カイばあちゃんの介護知恵袋
~施設編~



カイばあちゃん
数々の介護を経験していることから、介護のスペシャリストと呼ばれている。元気で物知りなおばあちゃん。

妻 順子
武雄の妻。強気な性格。一緒に暮らしている武雄の父の療養を施設でして欲しいと考えている。

夫 武雄
順子の夫。気弱な性格。一緒に暮している父の療養を自宅でして欲しいと考えている。